文部科学省が令和6年6月に全国の学校及び教職課程を置く大学、指定教員養成機関宛に「心肺蘇生等の応急手当に係る取組の実施について」を発出。当協会は今後も生徒、学生、教職員を対象にこれら講習会の開催、講師の派遣を行ないます。詳しくはお問合せください。
今年(令和5年)の夏は、これ迄にない暑さと集中豪雨や台風に日本列島が見舞われ各地で多大な被害が生じている。それでも季節は秋へと進んでいく。四季のある日本は季節により、自然環境に変化があり、それが楽しみでもあり、また私達の人体に影響を及ぼしている。夏の脱水症・熱中症対策から、秋の季節は乾燥対策が必要になってくる。また実りの秋でもあり、こめをはじめ、農作物の収穫で、食卓が賑やかになる季節でもある。
乾燥は呼吸をつかさどる肺をはじめ皮膚に影響を与える。乾燥により潤いが不足してくると、口、のど、鼻の粘膜の乾燥が進み、肺の機能低下により、咳や痰(たん)、息切れ、喘息など呼吸器疾患に注意することが大切である。寒さが加わると風邪もひきやすくなる。また肌の乾燥、髪のバサつきも気になる。
秋は、呼吸器官を潤す保湿に役立つ食材の使用や免疫力を高めるために胃腸の働きを調える食べ方が必要でお勧めしたい。胃腸の働きは呼吸器官に繋がっ ていると考えられている。夏の疲れは胃腸に不調や元気不足を招くので、食生活を見直すよい機会である。
体内の免疫細胞の6割は腸に存在しており、免疫は食事と腸内環境とに密接な関係がある。免疫細胞を活性化させるには
腸内環境を整え、腸内細菌の作用を利用する必要がある。即ち毎日の食事の内容(食生活習慣)が大切となる。
免疫力は体温とも関係があり、人体は必要に応じ体温を上げ対応している。体温が1度下がると免疫力は30%低下すると言われる。
体内での熱産生は筋肉内で行われており、筋力をつけることは大切である。
血液中の免疫細胞を活性化させるためには血行を良くすることが必要である。
自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを保つことも重要で、過労やストレスは交感神経優位となり、一方副交感神経優位のリラックス状態も行き過ぎると抗原に対して過剰に反応しやすくなる。シーソーのようにバラン スを保つよう心掛けたい。
秋が旬の食材の中から主なものをピックアップすると
果物では梨、ぶどう、柿、いちじく、りんご
野菜ではさつまいも、里芋、やまいも、れんこん、ごぼう、白菜、春菊
魚ではさんま、さけ、さば
木の実では栗、ぎんなん
この中より乾燥や胃腸に対して特徴的な作用を上げると(薬ではない)、 梨は水分が多く甘みがあるので、乾燥に対してのどを守り、のどの痛み、咳や痰などに効果を及ぼす。ぶどうやいちじくも、のどの渇きを癒す。りんごにはペクチンが多く便秘にも下痢にも効果があり、またカリウムも多いので高血圧予防に適する。ぎんなんは肺を潤すので、から咳に効果を示す。里芋ややまいもは胃腸の働きを高め消化吸収にすぐれている。
現在野菜の中には何時が旬なのか分からないくらい、1年中お店に並んでいる。温室栽培、輸入品、生産地の違い等分かり難いが、その季節に取れる食材を見逃さず食べたい。
腸内に棲息している腸内細菌は多様性で1000種類100兆個ともいわれるが、その中で善玉菌として大切なのは乳酸菌とビフィズス菌である。
乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り、出来た乳酸は整腸作用、免疫調整作用、動脈硬化予防や抗腫瘍作用に役立つ。
ビフィズス菌は酸素の乏しい大腸に多く棲息しており、乳糖を分解して乳酸や酢酸を生産し、腸内を酸性にして有害菌の繁殖を防ぎ、腸の蠕動運動を活発にする。また、酪酸菌と共に短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、カプロン酸)を生産しており、免疫機能の活発化や腸粘膜の保護をする粘液の生産にも関与している。
発酵食品の摂取もお勧めで、腸内フローラの環境を調え、整腸作用がある。
腸内細菌が活発に生息するためには、餌(栄養源)となるものが必要である。それらをプレバイオティクスといい食物繊維、オリゴ糖、糖アルコール等である。
オリゴ糖とは消化酵素で分解できない糖類で、大豆、ごぼう、たまねぎ、蜂蜜、アスパラガス、さとうきびに多い。
糖アルコールにはソルビトールやマルチトールなどの甘味料、きのこにある。
食物繊維にはセルロース(野菜などの細胞壁)、イヌリン(菊芋)、ペクチン、アルギン酸(寒天・海藻に多い)、グルコマンナン(こんにゃく)、でんぷんの不消化物などである。
腸内細菌類が元気に生育出来る状態(腸内フローラ)を保つため、これらの素材を十分与えなければならず、即ち私たちは食事によりこれ等の素材を十分に摂取することが必要である。餌がなければ腸内細菌は育たない!
鮭のチーズピカタ・トマトソース 付け合わせ きのこのソティー
鮭は塩と胡椒をして小麦粉をまぶす。卵を溶き粉チーズを入れ混ぜ合わせた液を付けて、フライパンに油を敷き両面焼く。きのこ(いろいろな種類を合 わせると良い)は炒めて少し塩を振る。生のトマトを1cm角位に切り、またはミニトマトを横半分に切り、トマトケチャップとソースで和えてかけるか添える。トマトの量により付け合わせにもなる。
サラダ 白菜と柿とりんご
白菜は秋から冬にかけ軟らかく甘みもあり、レタスに代わる食材で、生でサラダに適する。白い部分は厚さを半分にして、幅が広ければ半分に切り、せん切りにする。葉の部分も同じくせん切りにする。塩はしない事。柿、りんごは、いちょう切りにすると食べやすい。これらを混ぜ盛り付け、お好きなドレッ シングでどうぞ。白菜と柿はよく合い、このサラダは生の柿がある12月頃までが最適である。柿はビタミンCが豊富である。(あればきゅうりも入れる )
里芋 いも類の中で一番エネルギーが少なく、煮物、味噌汁、けんちん汁などに使われる。里芋の独特のぬめりはムチンであり、食物繊維類も豊富であ る。
生100g当たり:里芋58kcal、じゃがいも76kcal、さつまいも126kcalである。
菊の花 黄色や薄紫の菊の花がぎっしり詰っているパックが野菜売り場に並んでいるが、食べ方分かりますか?花びらを外し、お酢を入れた熱湯でさっとゆでる。水にさらさない。酢の物、和え物、サラダにする。またお酒に漬けたり、菊花茶も有名である。菊の花は薬膳では不老不死の薬として用いられていた。
食材それぞれには特有な成分があり、食べる事により何らかの効果があるが、食べる人の状態に適した選択が必要である。紙面の都合で書き尽くす事が出来ないが、質問があればどうぞご連絡いただきたい。
次回 上記の表について説明する予定である。
担当理事 飯塚美和子(管理栄養士)